NICUというところは、看護師によってはあまり馴染みがないという人も少なくないだろう。なぜなら、看護学生の実習でもNICUに行くことはほとんどないからだ。実習があったとしても1日だけの見学実習にとどまると思われる。それは、感染面の問題、そして医療機器をたくさん使用しているという環境、また生まれてすぐの赤ちゃんの両親の気持ちを考えると、実習を気軽にできる場所ではないということが挙げられる。そのため、看護師になって初めてNICUに配属されて中に入ったという人がほとんどだろう。初めての時には、NICUにいる未熟児の小ささや繊細さ、また医療機器の多さに圧倒されることもある。また、成人看護で学んできたような知識が、NICUの赤ちゃんには通用しないという特徴もある。そのため、NICUに配属した場合には一から勉強をすることを余儀なくされるだろう。常に衛生的な環境で医療モニターや医療機器に囲まれ、刻々と状態が変わる赤ちゃんのケアをすることは、とても緊張感を強いられるものだ。また、ケアが必要なのは赤ちゃんだけではない。その両親や兄弟のケアも重要である。赤ちゃんが生まれてからすぐはショックを受けているため、状況を受け入れられるまでにはなかなか時間がかかることも多い。このようにNICUで勤務することは、医療的ケアをすることも家族支援をすることも成人看護にはない知識や技術を要するということだ。そのため、NICUでの経験を積めば、のちにどこの科に行っても通用する技術を身に着けられるといっても過言ではないだろう。